日本の行事一覧【年間まとめ】意味・由来を解説

行事とは、季節の移り変わりや人生の節目を祝い、祖先を敬い、地域の絆を深めるために行われる年中恒例の儀式や催しです。
ここからは、日本各地に伝わる伝統行事から、様々な行事についてその由来や意味について解説します。

行事とは、特定の日や時期に行われる社会的・文化的な活動のことを指します。
これには、季節の移り変わりを祝うもの（節分・七夕）、宗教的な儀式（お盆・クリスマス）、国民の祝日（憲法記念日・成人の日）などが含まれます。

行事は、歴史や文化を次世代に伝える役割を果たし、人々がその意味を共有することで社会の一体感を深めます。また、行事を通じて、家族や地域の交流が促進されることも重要な目的の一つです。

行事には、伝統の継承、社会の結びつきを強める役割、節目を意識する機会といった重要な役割があります。
例えば、お正月やお盆などの年中行事は、家族が集まり、祖先を敬い、未来への希望を共有する機会となります。

また、学校行事や地域の祭りは、共同体意識を高め、協力や助け合いの精神を育む場でもあります。
さらに、祝日や記念日は、歴史的な出来事を振り返り、国や社会の成り立ちを再認識する機会としても機能しています。

日本の四季折々の美しい自然や伝統、文化を色濃く反映した年間行事。
それぞれの行事は、家族や地域の絆を深め、生活に彩りを与える大切な役割を担っています。
ここからは、1月から12月まで、月ごとに代表的な行事を紹介していきます。

■元日（1月1日）
元日は、新しい年の始まりを祝う日本の最も重要な祝日です。家族が集まり、おせち料理やお雑煮を食べ、初詣に行くのが伝統的な過ごし方です。
また、年賀状を送り合い、新年の挨拶を交わす習慣もあります。日本では、「一年の計は元旦にあり」と言われ、新年の目標を立てる日としても大切にされています。

■七草（1月7日）
七草粥は、1月7日に食べる伝統的な日本の行事食です。春の七草（セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ）を入れたお粥を食べることで、無病息災を願い、正月のごちそうで疲れた胃を休める意味があります。古くから、健康を祈る風習として受け継がれています。

■成人の日（1月第2月曜日）
成人の日は、新成人を祝う日本の祝日で、現在は1月の第2月曜日に定められています。この日には、各自治体で成人式が開催され、成人を迎えた若者（※）が振袖やスーツを着て式典に参加します。
成人の日は、大人としての自覚を持ち、社会の一員としての責任を考える機会とされています。

※成人年齢は2022年から18歳に引き下げられましたが、多くの自治体では「二十歳のつどい」などの名称に変更した上で、従来通り20歳で成人式を実施しています。

■節分（2月3日頃）
節分は、立春の前日に行われる伝統行事で、「季節の変わり目に邪気を払う」意味があります。豆まきをして「鬼は外、福は内」と唱えながら邪気を追い払い、福を呼び込む風習があります。
また、恵方巻を食べると願いが叶うとされ、その年の恵方（吉方位）を向いて無言で食べるのが習慣になっています。もともとは関西地方の風習でしたが、全国に広まりました。

■建国記念の日（2月11日）
建国記念の日は、日本の建国をしのぶ国民の祝日です。この祝日は、初代天皇とされる神武天皇が即位したとされる日（紀元前660年2月11日）に由来しています。「建国をしのび、国を愛する心を養う日」とされ、国旗掲揚や歴史を振り返る講演会などのイベントが各地で開催されます。

■ひな祭り（3月3日）
ひな祭りは、女の子の健やかな成長と幸せを願う伝統行事です。ひな人形を飾り、桃の花やひし餅、白酒、ちらし寿司などを用意して祝います。
もともとは、紙の人形に厄を移して川に流す「流し雛」の風習がありましたが、次第に人形を飾る形式に変化しました。現在では、家庭や地域のイベントとして広く親しまれています。

■春分の日（3月20日頃）
春分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、毎年3月20日頃にあたります。「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」として国民の祝日に制定されています。
また、春のお彼岸の中日でもあり、先祖を敬い、お墓参りをする風習があります。気候も穏やかになり、春の訪れを感じる大切な日とされています。

■お花見（3月下旬～4月）
お花見は、桜を鑑賞しながら春の訪れを祝う日本の伝統行事です。3月下旬から4月にかけて桜が満開を迎え、公園や河川敷などで家族や友人と食事を楽しみながら桜を愛でます。
もともとは平安時代に貴族が桜を鑑賞する習慣から始まり、江戸時代には庶民にも広まりました。最近では、桜の開花予想を確認しながら、各地でイベントが開催される春の風物詩となっています。

■入学式・入社式（4月）
4月は日本の新生活のスタートの季節であり、入学式や入社式が各地で行われます。入学式では、新入生が期待と緊張の中、新たな学びの場へ進みます。
入社式では、新社会人が企業の一員としての第一歩を踏み出し、社会人としての責任を意識する大切な機会となります。どちらも人生の節目として特別な意味を持つ式典です。

■八十八夜（5月2日頃）
八十八夜は、立春から数えて88日目にあたる日で、毎年5月2日前後になります。この時期は霜の心配がなくなり、本格的な農作業の開始の目安とされてきました。
また、新茶の収穫が始まる時期でもあり、「八十八夜の新茶を飲むと長生きする」と言われています。春から夏への季節の移り変わりを感じる重要な節目です。

■こどもの日（5月5日）
こどもの日は、子どもの健やかな成長と幸福を願う国民の祝日です。特に男の子の成長を祝う日とされ、鯉のぼりや兜（かぶと）を飾る風習があります。鯉のぼりは、強くたくましく生きる象徴として掲げられます。
また、柏餅やちまきを食べる習慣があり、柏の葉は「家系が絶えない」、ちまきは「厄除け」の意味を持ちます。

■夏越の祓（6月30日）
夏越の祓（なごしのはらえ）は、半年間の穢れを祓い、残り半年の無病息災を願う神事です。全国の神社で「茅の輪くぐり（ちのわくぐり）」が行われ、参拝者は茅で作られた大きな輪をくぐりながら、心身の清めと厄除けを祈ります。
また、人形（ひとがた）に自身の罪や穢れを移し、川へ流す儀式もあります。古くから続くこの行事は、暑い夏を健康に過ごすための大切な風習とされています。

■お中元（7月1日～）
お中元は、日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを込めて贈り物をする日本の伝統的な習慣です。主に関東では7/1～7/15、関西では8/1～8/15に贈られ、食品や飲料、ギフトセットなどが人気です。
もともとは中国の風習が由来で、江戸時代には商人の間で定着しました。近年では、ビジネスシーンや親しい人への贈り物として、夏の季節の挨拶として広く行われています。

■七夕（7月7日）
七夕は、織姫と彦星が年に一度だけ天の川で出会うとされる伝説に由来する行事です。短冊に願い事を書いて笹に飾る風習があり、学校や地域のイベントでも広く親しまれています。
もともとは中国の星伝説「織姫と彦星」が元になった「乞巧奠（きっこうでん）」が奈良時代に日本へ伝わり、平安時代には宮中行事として行われました。現在では、全国各地で七夕祭りが開催され、夏の風物詩となっています。

■お盆（8月13日～16日頃）
お盆は、先祖の霊を迎え、供養する日本の伝統行事です。8月13日に迎え火を焚いて霊を迎え、16日に送り火を焚いて見送る風習があります。
仏壇にお供えをし、お墓参りをする家庭も多いです。地域によっては7月に行う場合もあります。また、お盆の時期には「盆踊り」などの行事が開催され、家族や地域の人々が集まり、先祖を偲ぶ機会となります。

■夏祭り・花火大会
夏祭りや花火大会は、日本の夏を象徴する伝統的な行事です。全国各地で開催され、神社の祭礼に由来するものや地域の風習として続くものもあります。
浴衣を着て屋台を楽しんだり、大規模な花火大会で夜空を彩る花火を鑑賞したりするのが定番です。特に、隅田川花火大会や長岡花火大会などは全国的に有名で、多くの観光客が訪れます。

■敬老の日（9月第3月曜日）
敬老の日は、長年社会に貢献してきた高齢者を敬い、感謝する日です。家族で食事をしたり、贈り物を渡したりして、健康と長寿を願います。
1947年、兵庫県多可郡野間谷村（現：多可町）で「敬老会」が開催され、それが「としよりの日」として広まり、1966年に「敬老の日」として国民の祝日に制定されました。最近では、高齢者施設でのイベントや地域の敬老会なども開催され、世代を超えた交流の場となっています。

■秋分の日（9月23日頃）
秋分の日は、昼と夜の長さがほぼ同じになる日で、毎年9月23日頃にあたります。「祖先を敬い、亡くなった人をしのぶ日」として国民の祝日に制定されています。
秋のお彼岸の中日でもあり、お墓参りをしたり、おはぎを供えたりする風習があります。また、秋の収穫を祝う意味合いもあり、自然の恵みに感謝する日としても大切にされています。

■十五夜（9月中旬～10月初旬頃）
十五夜は旧暦の8月15日の夜に見る月のことをさし、「中秋の名月」とも呼ばれます。旧暦の8月15日は毎年9月中旬～10月初旬頃になります。
お月見団子やススキを供え、豊作を願う風習があります。もともとは中国から伝わり、平安時代に貴族の間で月見の文化が広まりました。現在でも、各地でお月見イベントが開催され、秋の風情を楽しむ行事として親しまれています。

■ハロウィン（10月31日）
ハロウィンは、古代ケルトで行われた、秋の収穫を祝うとともに、死者の霊を迎える宗教的な行事が起源となっている西洋の行事で、近年では日本でも人気のイベントになりました。10月31日にカボチャのランタン（ジャック・オー・ランタン）を飾り、仮装をして楽しむのが特徴です。
特に子どもたちは「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらう習慣があります。日本では、大規模な仮装イベントやパレードが開催され、秋の一大イベントとして定着しています。

■七五三（11月15日）
七五三は、子どもの成長を祝い、健康を祈願する日本の伝統行事です。一般的には3歳の男女、5歳の男の子、7歳の女の子が、晴れ着を着て神社にお参りします。
もともとは平安時代の宮中行事が起源で、江戸時代に庶民の間にも広まりました。千歳飴を贈る習慣もあり、「長寿と健康を願う」意味が込められています。現在でも家族で写真を撮るなど、記念行事として定着しています。

■勤労感謝の日（11月23日）
勤労感謝の日は、働く人々に感謝し、生産を祝い、国民が互いに感謝し合う日として制定された祝日です。もともとは「新嘗祭（にいなめさい）」という、五穀豊穣を祝う宮中行事が起源とされています。
現代では、家庭や職場で日頃の労をねぎらう機会となり、感謝の気持ちを伝えることが多い日です。

■冬至（12月21日頃）
冬至は、一年で最も昼が短く、夜が長くなる日です。この日を境に日が少しずつ長くなることから、古来より太陽の力が復活する日として祝われてきました。
日本では、柚子湯に入ると風邪をひかない、かぼちゃを食べると無病息災につながるといわれる風習があります。また、中国では「冬至餃子」を食べるなど、各国で寒さを乗り切るための伝統が残っています。

■クリスマス（12月25日）
クリスマスは、イエス・キリストの誕生を祝うキリスト教の祭日ですが、日本では宗教色よりも冬の一大イベントとして楽しまれています。街はイルミネーションで彩られ、家族や友人、恋人と過ごし、クリスマスケーキやチキンを食べるのが定番です。
全国各地でイルミネーションの点灯など、クリスマス関連のイベントが開催されます。

日本の行事は、四季の移ろいとともに人生の節目や地域とのつながりを大切にする、美しい文化の表れです。正月や節分、ひな祭りなど、月ごとの伝統行事は、それぞれに意味や由来があり、家族や地域との絆を深める貴重な機会となっています。

また、ハロウィンやクリスマスのような海外発祥の行事も生活に溶け込み、より多彩な楽しみ方が広がっています。
行事の由来や意義を知ることで、何気ない季節のイベントにもより深い意味を感じることができるでしょう。行事を大切にすることで、日常がより豊かになり、日本文化の奥深さを再発見できます。