更新日: 2024年12月17日

お正月の風物詩「初詣」誕生と鉄道会社のかかわりをご紹介!

皆さんは毎年初詣に行っていますか?お正月の三が日を中心に、日本各地の神社やお寺に沢山の方が初詣で訪れますが、「初詣」はお正月に参拝するという風習・習慣として誕生したのは明治時代ごろです。実は同じく明治時代に急速に発展した鉄道が「初詣」誕生に大きくかかわっているんです。
この記事では「初詣」の由来や誕生について、ご紹介します。初詣の参拝列に並びながらの会話の小ネタとしておすすめです!

「初詣」は歴史的に新しい風習

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お正月の風物詩と言えば「初詣」!
お正月三が日には、たくさんの方が神社・お寺に行って、昨年の感謝を捧げるつつ、新年の無病息災や平安無事、新年の幸福などを祈願し、清々しい気分で新年を迎えられることと思います。

【神社】や【お寺】は歴史も古く長いため、「初詣」の風習も同じぐらいの歴史がありそうですが、実は「初詣」が誕生したのは明治時代以降と、近代に誕生した風習なんです。

また「初詣」は日本の伝統行事としてすっかり定着していますが、実はその起源、鉄道会社が深く関わっているってご存知でしたか?

初詣の歴史と誕生についてご紹介していきます!

「初詣」が誕生するきっかけ

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初詣の参拝者数ランキングでも上位に入る神奈川県川崎市にある「川崎大師」の通称で親しまれている「金剛山金乗院平間寺」は、海中から引き揚げられた弘法大師像を本尊として1128年に建立・開創されました。

時は経ち、寛政8年(1796)と文化10年(1813)の2度にわたる将軍<徳川家斉>の参詣があり、男性の厄年だったこともあって、これをきっかけに「金剛山金乗院平間寺」は厄除大師として急速に発展を遂げたそうです。

日本の鉄道も明治の近代化を象徴

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厄除大師として発展した「川崎大師(金剛山金乗院平間寺)」は徐々にご利益に授かるための参詣者が増えてきたものの、人口が増加する都市部からは距離があり、一般の人が赴くには難しい時代が続きました。

ところが、明治時代に入って鉄道が誕生すると、飛躍的にアクセスが良くなったことで郊外にある神社仏閣への参詣が日帰りでいけるようになり、一般の方も厄除けや祈願に行きやすい時代に移り変わります。

郊外社寺への参詣の広まり

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鉄道が新橋~横浜間で開業し、その後市街地から郊外へと延びる鉄道が次々と開業することで、鉄道を利用して神社仏閣へ参詣に出かけるというスタイルが広まっていきます。

明治22年(1889年)には甲武鉄道(新宿~立川間)が開業し、明治28年(1895年)には飯田町(現在は廃止)へ延伸されたことで東京市街地から堀の内祖師(堀之内妙法寺)への参詣通いになったり、明治32年(1899年)には東武鉄道(北千住~久喜間)が開業し、西新井大師への参詣に利用されるようになりました。

鉄道が開業したことによって参詣者が増えたケースもあれば、参拝者数ランキング上位の千葉県成田市にある「成田山新勝寺」の場合は、成田鉄道が開業当初から参詣客輸送を目的として建設されたもので「成田山新勝寺」へのアクセスを担いました。

※甲武鉄道:明治39年の「鉄道国有法」の発布によリ国有化。
※成田鉄道:初代は1920年国有化。2代目は1946年に鉄道事業から撤退。

元日の恵方詣が毎年の「初詣」に変化!

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現代の初詣は正月三が日に賑わいが集中していますが、弘法大師が承和2年(835年)3月21日に入定したことに基づいて、毎月の21日が縁日となっており、その中でも1年で最初となる正月の21日に「川崎大師(金剛山金乗院平間寺)」では「初大師」としてご利益に授かろうと参詣が盛んでした。

こと元日の東京市内は【氏神】(※1)への参詣や特に【恵方詣】(※2)が盛んに行われていました。

鉄道開通後は「川崎大師」も東京の人々の恵方詣の対象となり、鉄道による恵方詣の広域化し、恵方に当たる年だけではなく、毎年元日に大勢の参詣客で賑わい、鉄道会社も参詣者の増加に合わせて臨時列車を毎年出すようになりました。

元日に行われていた【恵方詣】は5年周期で歳徳神がいるとされる方角が変わるため、毎年人々が参詣する社寺が変わっていましたが、「川崎大師(金剛山金乗院平間寺)」のように21日の縁日や恵方に関係なく、毎年参詣するという新しい正月参詣の形が「川崎大師」で定着していきました。

(※1)氏神…自分の住む土地を守る神様(神社)
(※2)恵方詣…居住地からみて歳徳神がいるとされる方角で、5年周期で毎年変わる年に当たる社寺に参詣する
【初詣2025】大晦日・年末年始の臨時運転のご紹介!参拝に便利なエキチカの神社も!

明治18年「初詣」の言葉が登場!

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賑わいを見せる「川崎大師(金剛山金乗院平間寺)」の正月参詣は臨時列車運行もあり、毎年参詣客が増え、明治18年の新聞記事にて“初詣”ということが登場してきます。
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「新橋横浜間ノ汽車ハ急行列車のハ平生ハ川崎駅へ停車されど、昨日より三ヶ日ハ川崎大師へ“初詣”のひとも多かるべきなれば、夫等の便利のために特に停車させらるることとなりしぞ」(『東日』明治18年1月2日)
(※注3)
ーーーーー

現在ではお正月の風物詩として定着した「初詣」ですが、明治18年(1885年)に言葉として出てきて、まだ140年ほどという歴史になります。

(※注3)引用:鉄道が変えた社寺参詣/平山昇 著/交通新聞社/2012年/41ページ

鉄道会社の発展が「初詣」の発展に寄与

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鉄道が誕生するまでは、一般の人々は徒歩しか交通手段しかなく、盛んにおこなわれていた「恵方詣」も居住地から近い社寺の参詣でしたが、鉄道網が広がることによって、鉄道に乗ること自体も珍しく、鉄道に乗って初詣に行くということ自体が行楽の一つなり、今日のような「初詣」文化が広まったといわれています。

ーーーーー
現在ではすっかり「正月の伝統行事」のように思われている「初詣」は、実は都市から郊外へ延びる鉄道ができたことによって誕生した、まことに「近代的」な参詣行事だったのである。(※注4)
ーーーーー

ちなみに12月31日の大みそかから元日にかけて行わわれる「二年参り」という風習は昭和に入ってから生まれたもので、鉄道などの終夜運転がされるからこそ生まれた風習と言えます。

(※注4)引用:鉄道が変えた社寺参詣/平山昇 著/交通新聞社/2012年/48ページ

【まとめ】「初詣」誕生と鉄道会社のかかわり

「初詣」の誕生と鉄道会社の関りについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

将軍家斉が川崎大師を参詣したことにより、厄除大師として急速に発展し、都市部からの距離の関係で一部の人しか赴くのが難しかったのが明治時代初期でした。

そこに鉄道が開通したことで交通のアクセスが良くなり、元日に行われていた【恵方詣】が参詣する社寺の恵方の周期に関わらず、正月参詣として定着し、毎年のようにたくさんの人々が鉄道を利用して参詣することで“初詣”という言葉が広まりました。

今回ご紹介した「初詣」の誕生と鉄道会社の関りについて参考とさせていただいた書籍は2012年に交通新聞社から出版された平山昇著『鉄道が変えた社寺参詣』です。

当記事内ではご紹介しきれなかった内容や、鉄道会社の競争、関西地方での「初詣」誕生などについても詳しく書かれています。

「初詣」の由来や誕生について、もっと知りたい方はぜひ『鉄道が変えた社寺参詣』をご購入してみてください!
『鉄道が変えた社寺参詣』交通新聞社 購入ページ
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