栃木県足利市にある両毛線山前駅は、1897年(明治30年)に開業し、地域の玄関口として賑わいました。1987年(昭和62年)4月に国鉄が分割民営化しJR東日本の駅となりました。その後、利用客数の減少等により、2019年(平成31年)3月に無人駅化され、現在に至っています。
無人駅である山前駅は、国鉄時代から残る木造駅舎となっており、駅舎内には、普段は使用していない駅事務室や休養室が残っており、国鉄時代の雰囲気を感じることができます。
更新日: 2025年06月04日
鉄道員(ぽっぽや)になれる!両毛線山前駅の木造駅舎「やままえ駅ミュージアム」開設の軌跡
栃木県足利市にある両毛線山前駅は、国鉄時代から残る木造駅舎があり、現在は無人駅となっています。無人駅である山前駅には普段は使用していない駅事務室があり、この駅事務室を活用し、山前駅の活性化ができないかと社員から意見が挙がりました。社内でアイデアを募集し、各地に残っていた昔懐かしいタブレット閉そく器や標識類、信号機などを集め、「やままえ駅ミュージアム」として2024年より開設し、多くの皆さんに楽しんでいただいています。この記事では、やままえ駅ミュージアム」開設に向けた軌跡や、実際に体験された方のレビューなどをご紹介します。
「やままえ駅ミュージアム」って?
▲下りホームから駅舎を望む
プロジェクトのスタートは2023年
▲レトロな看板が残る山前駅の上りホーム
2019年の無人化から約5年が経過し、全国的に数が少なくなった木造駅舎が残る山前駅で、駅事務室を活用して活性化に向けた取り組みができないか社員から意見が挙がりました。
山前駅を管轄する前橋統括センターでは、活性化に向けたプロジェクトが2023年に立ち上がり、鉄道の魅力を知ってもらう機会を創出しようと、国鉄時代や民営化後も使用していた鉄道古物を山前駅駅事務室に集めたミュージアムの開設を決定しました。
山前駅を管轄する前橋統括センターでは、活性化に向けたプロジェクトが2023年に立ち上がり、鉄道の魅力を知ってもらう機会を創出しようと、国鉄時代や民営化後も使用していた鉄道古物を山前駅駅事務室に集めたミュージアムの開設を決定しました。
ミュージアムのイメージを検討する為に各地を視察
▲ご協力いただいた皆様
ミュージアムのイメージ・展示内容を検討するにあたり、高崎支社管内でも数少ない、昔ながらの駅設備を活用し、レトロ感あるミュージアムを目指すことから、各地でレトロな展示物や施設を所有する鉄道会社様、施設様を視察させていただきました。視察内容から、ミュージアムでの展示方法を参考にさせていただいたほか、展示物のご提供などもいただきました。
【ご協力いただいた皆様】
・東海旅客鉄道株式会社
・天竜浜名湖鉄道株式会社
・平成筑豊鉄道株式会社
・リニア・鉄道館
【ご協力いただいた皆様】
・東海旅客鉄道株式会社
・天竜浜名湖鉄道株式会社
・平成筑豊鉄道株式会社
・リニア・鉄道館
駅事務室内をコツコツと清掃 2023年10月
▲コツコツと使用されていなかった駅事務室内を清掃
夏が過ぎ少しずつ涼しくなった10月。前橋統括センターのメンバーで山前駅駅事務室内の清掃とカーテンの設置を行いました。
駅事務室内の隅々まで清掃を行い、展示物を搬入する場所の確認等を行いました。
駅事務室内の隅々まで清掃を行い、展示物を搬入する場所の確認等を行いました。
タブレット閉塞機の設置 2024年1月
▲信号機器等のスペシャリスト社員による設置作業の様子
2024年1月。信号機器等のメンテナンスを行っている社員を中心に、タブレット閉塞機・鉄道電話機・発車メロディー装置を山前駅駅事務室内に設置作業を行いました。
今回の設置にあたって、「どうすれば世界観を作り出すことができるか」や「お子さまの目線で見やすい配置か」などを、メンバー間で話し合いながら作業を進めました。
今回の設置にあたって、「どうすれば世界観を作り出すことができるか」や「お子さまの目線で見やすい配置か」などを、メンバー間で話し合いながら作業を進めました。
ミュージアム完成 2024年2月
▲鉄道古物がたくさん展示されてる駅事務室内
ミュージアム発案から約1年。2024年2月。駅社員、乗務員、信号通信等のメンテナンス社員など総勢20名の社員の力を総結集し、趣のある「やままえミュージアム」が完成しました。
趣のある山前駅の駅事務室内に、各地に残っていた昔懐かしいタブレット閉そく器や標識類、信号機などを集め、見ても、体験しても楽しめるミュージアムになりました。
趣のある山前駅の駅事務室内に、各地に残っていた昔懐かしいタブレット閉そく器や標識類、信号機などを集め、見ても、体験しても楽しめるミュージアムになりました。
▲駅事務室内の奥にある休養室には、布団と定刻起床装置を設置
駅事務室内の奥にある休養室には、布団と定刻起床装置を設置し、体験の中で起床装置を体験いただけるようにもなっています。
▲各地から集めた判子やダッチングマシン等の古物が並ぶ。
窓口跡には、窓口体験の際に必要な判子やダッチングマシン等の古物を各地から集めました。これらを使用して、窓口体験の際に模擬の切符発券が可能です。
▲シャッターが開いた窓口跡の様子
綺麗に整備されて再び息を吹き返した窓口跡。今にも営業をしそうな雰囲気です。
これで、お客さまをお迎えする準備は万端です。
これで、お客さまをお迎えする準備は万端です。
お披露目!見学・体験イベントを開催
▲お客さまをお迎えする社員手書きのお出迎えボード
2024年2月。「やままえ駅ミュージアム」が完成し、地域の小学生に地域学習の一環として「やままえ駅ミュージアム」に来駅いただきました。短い時間でしたが駅員のお仕事を体験いただきました。普段無人駅の山前駅が多くの人で賑わい、一般のお客さまからも注目を浴びるなど非常に活気のある山前駅の姿を見ることができました。
JRE MALLイベント「やままえ駅ミュージアム〜古き良き時代の鉄道体験〜」を開催
▲ダッチングマシンを使用した窓口体験
2024年3月からスタートしたJRE MALLイベント「やままえ駅ミュージアム〜古き良き時代の鉄道体験〜」では、窓口体験と信号体験のコースに分かれて体験し、窓口体験では、昔ながらの硬券にダッチングマシンで日付印を押したり、駅名小印を押す体験等が、駅員さんらしいお仕事だとお客さまから好評でした。また、製作体験も開催し、お子さまに人気でした。
また、発車メロディー装置の体験では高崎支社管内の様々なメロディーを堪能出来てお客さまも満足しておりました。
また、発車メロディー装置の体験では高崎支社管内の様々なメロディーを堪能出来てお客さまも満足しておりました。
更にレベルアップ!「やままえ駅ミュージアム〜あなたが山前駅長です!」を開催
▲タブレット閉塞器体験の様子
2025年には、よりたっぷりとリアルな駅長体験をお客さまに楽しんでいただきたいという想いから、「あなたが山前駅長です」というコンセプトをもとに、あらかじめご用意させていただいた「作業ダイヤ」に従い、在りし日の駅長の業務体験をしていただきました。
▲模擬のタブレット授受体験の様子
今まで実施していたイベントとは異なり、窓口体験と信号体験の両コースを体験でき、実際に走行している営業列車の乗務員とタブレットの授受等の体験も行いました。
さらに、制服も着用し、よりリアルな体験をすることができたということで、お客さまから好評でした。
さらに、制服も着用し、よりリアルな体験をすることができたということで、お客さまから好評でした。
ありがとう。両毛線山前駅 木造駅舎
▲懐かしい安全啓発ポスターや行先板などの展示物
プロジェクトの立ち上げから2年。ミュージアム設置に向けた視察や検討。清掃、展示物の設置。さまざまな課題をひとつずつ解決し、そして、ミュージアムのオープンし、 約100名の地域の皆さま、お客さまに見学・体験いただきました。
見学・イベントにご参加いただいた皆さんから、
・色々な駅の発車メロディを鳴らせて楽しかった!
・硬券作りの駅名印が面白かった!
・色々な駅の発車メロディを鳴らせて楽しかった!
・実際の列車へのタブレット授受ができて楽しかった!
などと嬉しい感想をお聞きし、両毛線活性化に繋げることができたと感じております。
これまでご協力いただいた全ての関係者の皆様のおかげでミュージアムを開設する事が出来ました。
この度はミュージアム設置の取り組みにご協力くださった皆様、ありがとうございました。
見学・イベントにご参加いただいた皆さんから、
・色々な駅の発車メロディを鳴らせて楽しかった!
・硬券作りの駅名印が面白かった!
・色々な駅の発車メロディを鳴らせて楽しかった!
・実際の列車へのタブレット授受ができて楽しかった!
などと嬉しい感想をお聞きし、両毛線活性化に繋げることができたと感じております。
これまでご協力いただいた全ての関係者の皆様のおかげでミュージアムを開設する事が出来ました。
この度はミュージアム設置の取り組みにご協力くださった皆様、ありがとうございました。
両毛線山前駅 木造駅舎の今後について
▲山前駅駅舎を駅前から望む
今回の山前駅木造駅舎は、老朽化が進んでおり、2025年6月より新駅舎への建て替え工事が開始されます。新たな山前駅は、自然豊かな地域とのつながりを感じられるように構造部材や内装材に木材を使用した駅舎となります。
ミュージアムは終了しますが、ミュージアム開設に向けて培った知見や技術を活かし、皆さんに楽しんでいただけるイベント開催を検討してまいります。
ミュージアムは終了しますが、ミュージアム開設に向けて培った知見や技術を活かし、皆さんに楽しんでいただけるイベント開催を検討してまいります。
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JREメディア編集部