岩手の「快速列車」がアツい！JR東日本の“乗り鉄”社員が推す列車旅

岩手の快速列車には“乗り鉄”も興味津々な要素が盛りだくさんです。
本記事では、JR東日本の“乗り鉄”社員がおすすめする岩手の快速列車「ひなび（陽旅）」「はまゆり」「リアス」の3つの列車の魅力、おすすめポイントを紹介します。

ひなび（陽旅）は2023年12月にデビューした観光列車です。リゾートあすなろ用として運行していたHB-E300系をリニューアルして誕生しました。

～岩手から北東北各地へ～
普段は盛岡から釜石など岩手県内各地を結ぶことの多いひなび（陽旅）ですが、10月下旬から11月は珍しいルートでの運転されます。おすすめポイントと共に紹介します。

◇ひなび 錦秋湖 北上⇔横手 (北上線経由) 運転日：2025年10月25、26日

北上から横手まで北上線経由で運転します。運転日の10月下旬になると例年山あいは紅葉が始まる時期です。特に錦秋湖付近は湖と紅葉の組み合わせが美しく、北上線のハイライト区間でもあります。また、途中のほっとゆだ駅は駅舎の中に温泉が併設されているとても珍しい駅です。途中下車して温泉に入って次の列車へ乗り継ぐ、そんな旅もおすすめです。

◇ひなび 平泉 盛岡⇔平泉 (東北本線経由) 運転日：2025年11月1～3日

平泉町で11月1日から3日まで開かれる秋の藤原まつりに合わせて運転されます。中尊寺での稚児行列や神楽などの郷土芸能の見物など藤原まつりの堪能とあわせて、ひなび（陽旅）から東北本線の車窓をゆったりと楽しみながらご移動いただけます。

◇ひなび 八幡平 盛岡⇔大館 (花輪線経由) 運転日：2025年11月29日
◇ひなび みちのく 盛岡⇒青森 (花輪線・奥羽本線経由) 運転日：2025年11月30日

盛岡から花輪線を経由し、ひなび（陽旅）八幡平号は大館まで、ひなび（陽旅）みちのく号は青森までを結びます。岩手山や八幡平をはじめとした山々や、米代川沿いの眺めが美しい花輪線をひなび（陽旅）の窓から眺めてみるのはいかがでしょうか？また、花輪線の途中駅である十和田南駅は平地としては珍しいスイッチバックとなっており、ここを境に列車の進行方向が変わるのもちょっとした見所です。

紹介した列車のほかにもひなび（陽旅）は様々なルートで運転されます。各列車の運転日など含め詳しい情報はこちらのページをご覧ください。

快速はまゆり号は盛岡から花巻、遠野を経由して三陸沿岸の釜石までを結ぶ列車で毎日3往復運転されています.
この列車のおすすめポイントは、「指定席車両」が連結されていること！
定期運行する快速列車の中で指定席がついていること自体、JR東日本管内では珍しいのですが、さらに使用車両がディーゼル車である点はJR6社全体を見ても特に珍しいものです。
また指定席車両と一部の自由席車両に使用されているキハ110系0代は、もともと現在の快速はまゆりと同じルートを走っていた急行陸中用として1991年に新製されました。既に急行列車という種別自体が減少傾向にあった中、急行用車両として製造されたこともポイントです。

◇車窓の見どころ 陸中大橋の「オメガループ」

釜石線の中でおすすめポイントが、上有住～陸中大橋間にある「オメガループ」といわれるΩの形をした線路です。遠野と釜石の間にまたがる仙人峠越えの区間は勾配区間で、特に足ヶ瀬～松倉間は25‰※の急勾配が連続しています。現代のディーゼル車両は軽々と登っていきますが、開業当時はSL(蒸気機関車)が牽引する時代。SLにとって勾配は難敵でした。少しでも勾配を緩くするために距離を稼いで線路を敷くという方法が採られた結果生まれたのがこの「オメガループ」です。
「オメガループ」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、上越線の土合や北陸本線の鳩原ループのようにぐるっと一周円を描く「ループ線」に対して、Ωの文字のような形を描き一周はしないものの通称として呼ばれています。

※1,000m進むと25m上る(下りる)勾配のこと。

釜石方面への列車からは車窓右手に、花巻方面への列車は車窓左手にこれから通る線路や陸中大橋駅を眺めることができ、「オメガループ」ならではの景色を楽しめます。

また、陸中大橋駅には釜石鉱山から採掘された鉄鋼石を貨車に積むために設けられた設備が今も駅構内に残されており、採掘が盛んであった頃の雰囲気を今に伝えています。

快速リアス号は、北上山地を越え盛岡～宮古間102.1kmを結ぶ山田線を走ります。列車は1両もしくは2両編成で全て自由席、セミクロスシート車のキハ110系で1日1.5往復運転しています。山田線は全線通して運転される列車は快速リアス号含め1日3往復、その他に一部の区間運転列車のみと本数も少なく、沿線の大部分が山間部であることも相まって日本でも屈指のローカル線と言われています。

しかしながら山田線を走る快速リアス号にもおすすめポイントがあります。それは上米内～陸中川井間の63.6km、次の停車駅までなんと1時間24分もの間停まらないこと。途中駅での列車行き違いなどによる停車も無く、ひたすら山の中を1時間24分走り抜けていきます。この停車駅間の所要時間の長さは特急列車を含めても在来線では指折りです。

【※重要なお知らせ】
山田線は落ち葉が原因の車輪空転によるダイヤ乱れ防止と輸送安定化のため、上米内~川内間で10月6日から11月21日まですべての列車が運休となり、並走する岩手県北バス運行の106特急・急行バスで代替輸送を実施します。この期間中は紹介した快速リアス号も上米内~陸中川井間で運休となります。なおJR線の乗車券類(フリーきっぷタイプやえきねっとQチケを除く)で106特急・急行バスに乗車できる取り組みを2025年4月から2030年3月まで年間を通じて行っています。
※実施期間を変更する場合があります。

フリーエリア内の列車とBRT、バスが1日乗り放題となるおトクなきっぷ「いわてホリデーパス」を発売中です。紹介した快速列車での列車旅にも活用できておすすめ！※
お求めはフリーエリア内の指定席券売機、みどりの窓口等のほか、デジタル版はTOHOKU MaaS WEBサイトにてお手持ちのスマホで購入、利用することも可能です。

■利用期間……土・休日 ただし4月29日～5月5日、7月20日～8月31日、12月23日～1月7日は毎日利用できます。
■販売期間……通年(2025年10月現在)

※紹介した列車の一部区間は、フリーエリアの対象外となる場合があります。あらかじめご確認いただきますようお願いします。

大きな車窓や車内設備が魅力の観光列車からローカル線の快速列車まで、岩手には乗るだけでも楽しむことができる快速列車がいくつも走っています。この秋は乗り鉄社員もおすすめする快速列車で、車窓からの風景や路線、列車の魅力を味わいながら岩手の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか？

◆岩手に新幹線で行くなら、えきねっとでらくらく予約！◆

◆岩手の観光情報をもっと知りたい方は「秋は短し 旅せよ岩手 WANDER IWATE」をチェック！◆