更新日: 2024年11月29日

東能代駅で何する?旧駅名『機織』に迫る!

秋田県能代市にある東能代駅(五能線・奥羽本線)は、リゾートしらかみ号が停車し、五能線エリアと秋田県の観光地をつなぐ乗換駅です。そんな東能代駅の駅員がおすすめする観光情報を紹介します。今回は観光スポット編「旧駅名『機織』に迫る!」です!東能代駅に何もないなんて言わせないぞ!リゾートしらかみや五能線の旅のご参考にどうぞ!

「能代駅」→「機織(はたおり)駅」→「東能代駅」

東能代駅
「帝國鐡道●」と書かれています。※●は不鮮明のため読みとれず。
現在の東能代駅は、青森駅から鷹巣駅(当時は「鷹ノ巣」ではなく「鷹巣」)まで通っていた奥羽本線が延伸し、1901年に「能代駅」として開業しました。初めは東能代駅が能代駅だったんです。
その後、1909年に「機織駅」に名前を変え、1943年に現在と同じ「東能代駅」となりました。
ちなみに、現在の能代駅は1908年に貨物専用の「能代荷扱所」として開設し、同年に「能代町駅」と改称。その後、機織駅への改称と同時に「能代駅」となりました。

「機織」とは

東能代駅の住所は「鰄渕(かいらげぶち)」ですが、駅を出て西側方面は「機織」という住所です。この地名が「機織駅」の由来です。
機織地区にある、駅を出て右側の月極駐車場の近くには「帝国鐡道●(●は不鮮明で読みとれず)」と書かれた石碑のようなものが残っていて、機織駅の名残が感じられます。

機織の由来「豊姫」とは?

羽後の伝説
(出典:『羽後の伝説』木崎和廣 著)
地名としては珍しく、どこか風情漂う機織という地名の由来は...
諸説あると思いますが、ここでは1976年発行『羽後の伝説』(木崎和廣 著)に書かれている「豊姫」について紹介します。

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その昔、東能代駅のあたりは能代浦という海になっていました。近くに住んでいた豊姫という美しい娘は、毎日のように機を織り、織った布は、小友沼(おともぬま)のほとりにさらし干され、能代浦に入る船の目印になっていました。また、その布は月影がさすと五色の光彩を放っていたので、天女の綾布として高く売れました。
ある年の十五夜に、豊姫は「私は月の世界の者でした。ある罪の償いのために追放され、布を千枚織ると許され、月の世界に戻れるのです。今夜で千枚を織りました。ここに永く住みたいのですが、お別れしなければなりません」と言い、長寿の薬と羽衣の箱を形見に残して、天に飛び立ったといいます。(※注1)
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このエピソードが機織の地名の由来になったようです。

(※注1)引用:羽後の伝説/木崎和廣 編著/第一法規出版/1976年/110ページ
※一部読みやすい表現に変更しております。

白鳥の飛来地「小友沼」

東能代駅 小友沼 白鳥
小友沼の白鳥 2024年11月1日の様子
東能代駅 小友沼 白鳥
道中の田んぼでは間近に白鳥を観察できます。
豊姫が布を干していた小友沼は東能代駅から約1.7kmの場所にあります。現在の小友沼は白鳥やマガンなど渡り鳥の飛来地として有名で、秋田県の鳥獣保護区に指定されています。年により変動はありますが、多い年には数千から数万羽の白鳥が飛来します。小友沼に集まる姿を見るなら朝と夕方、もっと近くで見るなら近くの田んぼに移動する昼がおすすめ。東能代駅から徒歩で約25分と、徒歩で行ける観光にもおすすめな白鳥の観測スポットです。
東能代駅 小友沼
展望台から望む小友沼
能代火力発電所や風力発電、能代の街並みが見える
小高い丘には展望台が設置されていて、小友沼を一望できます。
小友沼周辺からは、白神山地の麓や能代火力発電所、風力発電、能代の街並みと、太古の昔から現代へと続く、この地域の時代の移ろいを感じることができます。
東能代駅 小友沼 白鳥
白神山地の麓を背に落穂を拾う白鳥たち
時代とともに景色も変わってきましたが、毎年のようにこの地に白鳥が帰ってくるのは、もしかしたら豊姫の織った美しい布が能代浦に入る船の目印だったように、今も白鳥たち目印になっているからなのかもしれません。
小友沼の概要はこちら
小友沼で見ることができる主な野鳥についてはこちら
沼の環境保全のためにご協力を

五能線観光で東能代駅から始まる伝説と歴史を探しに

『機織』に迫る。は、いかがでしたでしょうか?
旧駅名「機織駅」を紐解くと、美しいエピソードと白鳥たちが紡いできた景色に出会うことができたのではないでしょうか。五能線やリゾートしらかみで観光に訪れた際には是非、東能代駅と小友沼にお立ち寄りください。

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